10月30日
3.意味理解の障害 テスト例
・語義失認 auditory pointing耳で聞いたものの名前を指差す
・復唱可能 verbal command口頭命令。目を開けて下さいなどの簡単な命令に従う
比較→視覚性失認
身体部位失認autoptoagnosia
4.文章理解の障害(高次の障害)
a.統語理解の障害
文章で命令(ハンカチで鉛筆を包んで下さい)が分からない。ハンカチも鉛筆も触ることができる。統語検査。
b.聴覚情報処理レベルの障害
連続ポインティングができない。鉛筆→ハサミ→クシ
↑最初のはできる
c.聴覚保持力の低下
復唱ができない。後の方しか分からない。最初の方の記憶が聞いているうちにごちゃごちゃになる。
C.復唱の障害ecolaliaの正反対
聞き取りが悪い → 伝導失語conduction aphasia
表出面が悪い
ビデオ1 Wernicke失語(皮質性感覚失語)
復唱課題を間違える。フィードバックできない。聞き取りも理解もできない。受容面での問題だが、表出にも障害がある。流暢に話すが、何を言っているのか不明。単音は聞き取れないが、単語は復唱できる。単音の読みができない。単語の方が分かる。
ビデオ2 超皮質性感覚失語
復唱できる点が、Wernicke失語と最も違う。
保続preservation……ある言葉が繰り返し出て来てしまう。かなは読める。
失語症研究史
Piene Paul Broca(1861)から、本格的に失語症研究がスタート。
舌は動くがしゃべれない、運動性失語の2例のautopsy剖検報告。
→1861、失語症(神経心理学)起源の年とも言われる。
・最も古い失語症の記載
→B.C.3000年の、エドウィン・スミス・パピルス
・Samuel Johnson(1708〜1782)の、自らの失語症体験の記載
・ゲーテ「ウィルヘルム・マイスター」1775年
失語、失書なども記載
→記載されているものは表出性であって、感覚性の失語の記載がない。
→精神錯乱と見られ、Carl Wernickeまで言語障害とみなされなかった。
Broca出現の背景
局在論と全体論の対立
Franz Joseph Gall(1756〜1828)
神経解剖学者で、機能局在論の提唱者
※ガル以前
脳室局在論
精気(プネウマ)が入っていて、神経がはりめぐらされている(精気論)
大脳皮質こそが、精神の場である。
しかし、ある時期から、骨相学phrenology
↓理由
子供の頃、言語機能が得意なものがいた
→Brocaは、牛の目をしていたと回想
→視覚領域が発達して、目が飛び出ている。
↓
Jean Baptiste Bouillaud(1825〜1893)
1825年、前頭葉に言語機能があることを臨床的に調べ発表。
錬金術→化学の進歩に貢献
占星術→天文学の進歩に貢献
Ernst Auburtun(1825〜1893)
1801.3.21.Grational全体論
4月12日、Brocaの第一例
Leborgne、51歳。30歳の時、Speachlessness。
問診をしようとしても、tan,tanとしか言わない(再帰性発話)。人の言うことは理解でき、知能も正常。
→構音言語障害
→17日、Leborgne死去、18日、発表。
Leborgneの脳
両大脳半球の萎縮、特に左側が激しい障害。
左半球の、広範に渡る異常。
→左前頭葉、側頭葉領域――腔所(組織がなくなって脱落)
↓ その周囲が広範に軟化。
病症の原発点。周囲は症状が段々悪くなったために軟化した。
脳病変と症状の関係
病変 | 症状 | |
第一期 | 左側頭葉 特に第3前頭回の軟化 |
aphémie……言葉が出てこなくなった。構音言語機能の障害。 |
第二期 | 左線状体への拡大 → 左半球の全体的な萎縮 → |
運動麻痺 知能低下 |
第3前頭回の理論
→構音言語機能の中枢
Brocaの第2例
Lelong、84歳、もと土工。
1860年4月、CVAを発症→その後発話喪失。
1861年10月、大腿部骨折→Brocaのもとへ。
→問診でしゃべれない。
言語表出:音節+サイン
言えるもの oui:肯定・同意
non:否定・同意。
tois:troisの誤り。3の意味。数はすべてこれになる。
torjours:上記以外(再帰性発話)
Lelo:自分の名前
言語理解はよく、知能も正常。麻痺性ではない。
→aphémie構音言語障害
1861年11月8日、Lelong死去。
Leborgneと同じ病巣が非常にはっきりと、限局してあった。
→第3前頭回損傷とaphémieの関係が明らかになった。