12月4日

 Wernicke-Lichtheimの失語図式→失語の古典論の確率
皮質機能局在論   
連合説          全体論 ×

1906年、Pierre Marie Flourens
 BrocaやWernickeの言うような、きれいな症例は出てこない
  ↓
 Brocaの批判
第3前頭回を構音言語機能の中枢とすることはできない
 Lelong……病巣が広すぎる
 Leborgne……老人性痴呆の一種ではないか
 ↑
Dejerineとの論争
 →Marieの説そのものは、それほど説得力を持たなかったが、失語についての概念を再考したのが特徴

知性論
 失語=機能障害である。
aphasia is one, Wernicke's ahasia.
失語は一つのタイプしかない。それはWernicke失語である。
しかし、Wernicke失語の理解障害は、失語によるものではなく、知能低下であると主張(従来は、知能低下のある失語は失語としていなかった。ex痴呆)
 Marieの考案したテスト
三枚の低テスト→のちの、token test
 軽度の理解障害にsensitiveなテスト。
→このMarieの考え方は、わりと受けた。

 Broca時代の全体論的立場のFinkernbergは、よく見たら、失語にも知能低下があることを主張。asymbolie。
→それについてのWernickeの反論は、脳損傷だから、何らかの知能低下は随伴しているかもしれないが、しかしそれは障害の本質ではなく、失語という障害の本質は、あくまで失語にあると主張した。

 H.Jackson
Pickの再紹介
 ↓命題形成の障害
H.Head

 K.Goldstein(全体論で著名)
脳損傷後の障害の本質として、抽象的態度の喪失を指摘(abstract attitude図と地の弁別)
  ↓
amnesic aphasia健忘失語(現在のanomic aphasia失名辞失語、呼称障害。物を見て名前が言えない)
 circumlocution迂回操作、迂言

個別概念 上位概念
バラ
ハサミ 切るもの
エンピツ 書くもの

(ハサミを答える時に、切るまねをするなど、動作が伴う→抽象的態度の喪失。具体的態度を取る)
 色の分類――色の呼称障害(色の知覚は正常、色の記憶もある)

 局在論
W.Penfield, Robert Wechawins「Speech and Brain」(言語と脳)1959.
 皮質の電気刺激の研究

Penfieldの功績
 言語野の確定
言語野の決定法
1.損傷患者の病巣――剖検(当然、患者が亡くなった後)
 臨床像と剖検脳の関係がはっきりしない(患者の生存中に、臨床像は次々と変化する)
2.刺激法(ペンフィールドが始めた)
 脳刺激の効果
  陽性効果……運動野を刺激すれば手足が動いたりするなど、運動、幻覚、発生などが勝手に起る
  陰性効果……何かやろうとすることが脳を刺激することによってできなくなる。刺激をすると、失語的な呼称障害(aphasic arest)
→どういう生理過程が起っているのかが、よく分かっていない
3.外科的切除→もともと何らかの病巣がある患者

 三つの方法は、それなりに欠点があるが、三つの結果が一致したら、言語野の確定といえる。

 古典論……皮質−皮質説
 Penfield……皮質−皮質下説(皮質下言語中枢説)

 Magoumの網様体賦活系、1949
灰白質:神経細胞のかたまり
白質:軸索を包んでいるミエリンが髄鞘化して白く見える
 脳定位同定装置により、狙ったところに電極を刺して、深部から脳波を記録することができるようになった。網様体を刺激すれば、意識活動のレベルが上がる。
→壊すと、たたいても反応しない(感覚情報は来ている)
 →活動のために、網様体がある一定レベル以上の意識レベルを保つことが必要
  →皮質下の部位が、皮質の活動レベルを支配
※高次のはずの大脳皮質が、皮質下の領域に制御されていて、このような中枢が網様体にある。
  ↓
 大脳皮質中心に考える説の、180度の転換
  ↓
Penfield
 centrencephalic system中心脳系
単に維持するだけでなく、両方の大脳半球に、同じように影響を与える中枢がある(てんかんの研究から→普通は、片側の発作はもう片方にはいかないが、中心脳系発作は、同じ部位が両側性に脳波が乱れる)
 →高次脳幹がどこかとははっきり言っておらず、あいまい。

 M.Geschwind「言語が練成される」
皮質下言語中枢説の、Penfield&Robertsらの証拠はほとんどない。
 彼らは、視床腫瘍2例の引用している。
皮質は壊れているが、失語症があった。
 また、視床出血1例を引用
剖検はないが、視床がまずいと思われる。
 ↑
だが、2つとも占拠性病変によるremote effectによって、皮質の機能低下が起きているだけかもしれない(神経心理学的な根拠が薄い)
 パーキンソン病患者の研究などからの、皮質下破壊による失語には、ventrolateral nucleusの損傷
→しかし、言語障害はほとんどがdysarthria(麻痺性構音障害)的障害で、軽度で、しかも回復する。

 Lennenberg, 1968
言語の生物学的基礎――Penfieldの言語仮説が証明された。
言語機能を支えるattention機構として、視床は関与しているといえる。

 視床出血による失語
Liemans, 1970
 mohrの症例
 視床出血で、意識障害を伴う。検査をしていると、だんだん眠ってしまう。しかし、起こすと言語障害はなく、意識(注意)レベルの低下によって、言語障害が出てくる。

 視床梗塞による失語
超皮質性、多くは回復する。左視床梗塞で、失語にならない例もある。
特に近年は、被殻出血による失語が分かるようになった(中大脳動脈は、なぜか梗塞ができやすい)

 Boston学派
N.Geschwind
 Wernickeのモデルを受け継ぐ。古典論:皮質−皮質説
皮質下損傷で失語のように見えるものは、皮質下損傷によって、皮質と皮質の連絡をする白質が切られているからである。

 言語の知性論
話す     失行症apraxia
聴く   →  筋肉には悪いところはないのに、ある行為を意図的にしようとするとできない
書く     もっと大きな特徴は、autonomic voluntary dissociassion
読む      パントマイムの理解ができない。失語によって、symbolicなことができない

 聾者の失語
ASL(American sign language)
手の形、行動位置、運動で表現
 言語システム  ×
 非言語システム ○