エンカウンター・グループ encounter group

 狭義にはロジャーズのベーシック・エンカウンター・グループをさすが、他にレヴィンらのTグループや感受性訓練がある。これは、心理療法よりも心理的成長を志向する成長志向グループである。この小グループでは、通常ファシリテーター(リーダー。1名か2名)とメンバー(8名から20名)で構成され、4,5日間の合宿形態を取る。グループは指示的なものも非指示的なものもあるが、話題を決めない自由な話し合いを中心に過ごし、その中で真実の対話と自己の探求が行なわれる。ファシリテーターの質とグループの雰囲気が効果を決定付ける。グループ体験の特徴としては、日常性からの離脱、集中的グループ経験、率直な感情表現、個々人の尊重、権力の分散、ファシリテーターのメンバー化が挙げられる。グループ経験を通し、自分が理解され受け入れられていると感じると、自分自身を防衛する必要がなくなり、自分の感情にも気づくようになるのでより現実的で客観的になる。グループの安全さが自他への態度を変え、恐れを抱かなくなる、他者への理解と受容が増大する。自分の生き方に責任を持つようになる、他者への信頼感と共に自己への信頼感が増す、などが挙げられている。
 コーチン(1975年)はグループの抱える問題として、グループの効果が持続しない、グループで心理的損傷が起こる場合がある、自由な自己表現の肯定が逸脱した行動の肯定と同義になりやすいこと、科学的議論ではなく宗教的情熱で推進されていること、などを指摘している。