フォーカシング focusing

 体験過程療法と以前は呼ばれていた、ロジャーズの共同研究者ユージン・ジェンドリンが創始した概念で方法。心理療法の成功はクライエントの感情体験と深く関わるが、この感情は身体感覚として体験される。これを明確化する過程がフォーカシングである。
 フォーカシングの過程としては、@空間を作る、Aフェルトセンス、Bハンドルをつかむ、C共鳴させる、D尋ねる(問いかける)、E受け取る、などが挙げられている。フェルトセンスとは、ある特定の状況における身体感覚であり、意識と無意識の境界領域で形成され、独特で明白だが最初ははっきりしない雰囲気として感じられるだけであり、内的に複雑だが全体として体験され、体験を積み重ねることで進み、そのプロセス自体に成長の方向があるという特徴を持つ。その時にはフォーカシング的態度が重要であるが、それは基本的にロジャーズのクライエント中心療法におけるセラピストの基本的態度と類似している。パーソナリティ変化を促す体験的一歩を促す技法として、@微妙な雰囲気を聞き取り、確認する、A「そこにある何か」を作り出すために応答する、Bハンドルとなる言葉やイメージを見つけ、共鳴するかどうかを感じ取る、Cフェルトセンスを呼び出し、フォーカスするように働きかける、Dそれに軽く触れ、それを感じ、そのそばにとどまるための教示を与える、Eフェルトセンスに友好的態度で接し、そこから生じる全てを優しく受け取る、などが指摘されている。